近年、その進化が著しいジャンプロープ。その中で様々な「正解」の軸が生まれてきた。
ここではシーンで活躍する人物たちに、その「哲学」をアウトプットしていただく新企画。
今回登場してくれるのは、栄光ROYALの顧問として、数々の強豪チーム・プレイヤーを輩出してきた、こが先生。数学科の教員として教鞭を執るかたわら、ダブルダッチに魅せられ、今やターニングにおいては右に出る者がいないほどの実力者。
数多くの指導を担当してきたからこそ語られるロジカルなターニング論を展開してくれる。
例えば、咄嗟に何らかの“調整”をすることでムーブが通るようになったという経験は皆さんにもお有りかもしれない。事実そういうことが出来るプレイヤーは、実力者であるに違いない。
だが、こが先生はここに一つ指摘をする。
「その調整がなければ成立しなかった」ことは、「完璧なターニングではなかった」とも捉えられるということ。
そして、実はその気付きが「超上級への入り口」であるということ…。
そこで「超上級」に至るうえで必要となる要素が、今回こが先生が語ってくれたテーマは『縄神経』。
圧巻の内容を、ぜひご覧ください。
ターニングは「意のままに操る」ものだと思っていた
ロープを思い通りに回せるようになる。
多くの人が、そこをターニングのゴールだと思っているでしょう。
実際、それは間違っていない。
意のままに操れるようになるのは、
間違いなく“すごい”ことだ。
ロープの高さ、スピード、間。
ジャンパーや技に合わせて自在に変えられる。
そこまで到達するには、相当な経験と練習が必要だ。
手回しでターニングを調整するのは、高度な技術だ
手回しでターニングを調整する。
これは間違いなく、上級ターナーとして必要な技術だ。
引っかかりそうな状況でも立て直せる。
多少無理があっても、ターニング技術でジャンプ環境を整えられる。
「通してしまえる」。
その場に合わせた調整で通せるという事実そのものが、
すでに高いレベルにある証拠だ。
一方で、
そこにはひとつの事実も残る。
何かを“しないと”通らなかった。
その調整がなければ成立しなかった。
つまりそれは、
完璧なターニングではなかった
ということでもある。
通ってはいる。
しかし、そのままの状態で通せたわけではなかった。
これは否定ではない。
ターニングの仕組みの違いの話だ。
通らないロープを操作で通すようにする仕組みか。
操作をしなくても通る仕組みか。
もちろん、前者でも十分に高度なターニングだ。
上級者ほど、そこで止まってしまうことが多い
ターニング技術が身につき、
その場その場の調整ができるようになると、
大体の技は通せるようになる。
無理な入りでも、
技術で成立させられてしまう。
通せてしまう。
周りからも評価される。
自分でも満足できる。
だからこそ、
そこで止まってしまう。
通せてしまうから、止まってしまう。
ここに、ひとつの天井がある。
派手じゃないターニングがある
しかし、ターニングには
もうひとつの在り方がある。
大きな調整をしない。余計な操作を足さない。
それでも、ちゃんと通っている。
ロープが回りたいように回った結果として、
ジャンパーが跳びやすい最適な空間が作られている。
派手ではない。
しかし、そこには完璧な空間がある。
ここでは、
ターナーが何かを“している感覚”はほとんどない。
成功率は同じでも、習得の早さが違う
大切なのはここからだ。
上級と、その先にある超上級を比較したときに、
最終的な成功率は、
実はそれほど変わらないのかもしれない。
しかし、
技を習得するまでにかかる時間が、
全く変わってくる。
「縄神経」が通っていると、
技が無理なく、早く、自然に馴染んでいく。
自ずと通るように導くターニング
ロープを操作して従わせるターニングと、
自ずと通るように導くターニング。
強引な操作を続けていると、
ロープが嫌がっているのが、
手に伝わってくる。
張り、重さ、振動。
違和感として、はっきり返ってくる。
そういうときは、
だいたいターナーが操作しすぎている。
縄神経は、そのうち通るが……
経験を積めば、
なんとなく縄神経は通るようになってくる。
それ自体は、よくあることだ。
しかし、
それを偶然に任せるのか、
縄神経を通すことをゴールとして意識しているかで、
成長の質は大きく変わる。
気づいたら通っていた、でもいい。
しかし、意識できたら、もっといい!
「超上級」は、ここから始まる
ターニング操作でロープを従わせることができる。
実はそこが、「超上級」へのスタート地点だ。
余計な操作をしなくても、空間が整う状態。
そのゴールを最初から見据えられるかどうか。
上級の完成は、超上級の入口にすぎない。
最後に
これは精神論ではない。
ターニングを突き詰めていくと見えてくる、誰にでも到達し得る向こう側の話だ。
一人でも多くのダブルダッチ愛好者が、ターニングの楽しさを見出し、
笑顔でロープを回していられたら、
それだけで嬉しい。

