2025年 11月8日(土)、ダブルダッチチーム「Mrs.DOUBLE DUTCH」が結成10周年を記念したパーティーを開催する。そこでTHE ROPESでは、Mrs.DOUBLE DUTCHとのタイアップ企画として、リーダー・MISAへのインタビューを敢行。
社会人と両立し、10年の時の流れと共にライフステージも変化していくなか、なぜダブルダッチを続けてきたのか。「わたしごと」を「みんなごと」にする、誰もを愛し、誰からも愛されるリーダーが、この10年を振り返る。
「Mrs.DOUBLE DUTCH」
ダブルダッチシーンの第一線として牽引するフィメールチーム。
メンバーそれぞれが国内外の大会で優勝経験を持ち、審査員やゲストパフォーマー、イベントオーガナイザーとしても幅広く活動。
自分たちがやりたいことができる環境を作っていきたい、どんな困難や年齢の壁を越えてでも動き続ける勇気を届けていけるような存在になりたいという想いをこめて、2016年に結成された。
結成10周年を契機としてイベントを開催するほか、3名の新規メンバーが加入。彼女たちが持つパワーで、更なる可能性に挑戦するチームとして躍動し続ける。
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長く続けられるチームがいいな
──まず、結成のいきさつを教えてください。
MISA
2015年当時、男の子チームは多かったけど、女の子だけのチームは少なかったと思う。大先輩の『viva女!!』という女子のみのプロチームも解散してしまっていたので、そこで息の長い女の子チームがあったら面白そうだなって。
──ということは、最初から長く続けていこうという気持ちはあったと。
MISA
そうですね。とはいえ、10年間やろう!みたいなことは考えていなくて、漠然と「長く続けられるチームがいいな」と思っていました。
実はミセス結成までに、チーム結成に向けてチャレンジした時期はあったんだけど、“長く”を意識するとなかなか難しかったんですよ。いろんなことがあって、最初に「Mrs.ORCLE」というチームでBrilliant Nightに出たのがミセスの前身。

MISA
このMrs.ORCLEで関東のブリナイに出たんですが、その会場が今回10周年パーティをやる会場なんですよね。
──じゃあある意味“始まりの場所”でやることになるんですね。
あるとき、MISAの元に大きな仕事が舞い込んでくる。アメリカのダンサー / 振付師のジョンテ・モーニングがダブルダッチに関心を持ち、一緒にショーを披露してくれないか、というもの。この千載一遇のチャンスに対し、MISAはMrs.ORCLEのメンバーに声をかける。しかし…
MISA
どうしても社会人だから予定の融通が効かなかったんです。でも練習はかなりしなくてはならない。どうしよう…となり、そこで当時4年生だったHARUNA・SUMIRE・MANAMIに声をかけました。
それで練習をしていたとき、みんなで床に座りながら「こういうのやった方がいいですかね」とか話していて、それがすごくナチュラルだったんです。え、この子たちとチームをやりそう…と思って。
そういった経緯を経て、「Mrs.DOUBLE DUTCH」が結成。2016年のDOUBLE DUTCH CONTEST JAPANに挑むことになる。
「Mrs.DOUBLE DUTCH」って名前、すごいですね
──ところで、この「Mrs.DOUBLE DUTCH」って名前ってすごいですね(笑)。ダブルダッチの女子をレペゼンする感じというか。
MISA
最初にぼんやり「Mrs.DOUBLE DUTCH」って名前は浮かんでいたんですよね、私の感覚的に。「ダブルダッチ」をチーム名にそのまま入れているチームってないから、それって盲点なんじゃないかなって。あと、使っちゃったらもう誰も使えないから(笑)。
でも強烈に「女子シーンを…」みたいな思いがあったわけではない。とにかく当時はそういうチームがいなくて、でもダブルダッチを楽しんで続けたいという、女の子たちの居場所になればいいかな、という気持ち。これは今も変わらない。
あっ、でも「この名前をつけて良かった!」って思うことがあって。パフォーマンス作りにおいて、“ダブルダッチしてない”のはヤバいよねって、自分たちに良いプレッシャーを与えられるようになったということ。
──と、言いますと。
MISA
ダンスに寄りすぎてしまってロープを使わないとか、ダブハリでロープを抜くとか、そういうショーってあるじゃないですか。それがダメだという話ではないんですが、でもやっぱりダブルダッチって、2本のロープを使ってこそ。私たちはダンスチームではなく、ダブルダッチチームだから。
ダブハリ、スピード、アクロバット、フロア、縄技、乱シャーとか、そういうダブルダッチ特有の動きや“カッコよさ”があると思っていて、そこを大事にしたいよね、という気持ちはあります。

──なるほど。確かに、最近は日本のダブルダッチが外のエンタメカルチャーにも進出していくなかで、ここって乗り越えなければならない課題だと思うんです。「これってダンスでいいじゃん」と思われてしまうと、ダブルダッチである理由はなくなってしまう。
MISA
まあでも、別に誰かの何かを否定したいわけじゃないんです。全然「最近の若いやつは…」みたいなことは思わないし(笑)、大会を見るたびに「うまっ」って思うし。
そういう、何がダブルダッチで、チームとしてはどうあるべきで…という議論にはいろんな意見があるから、それを論破しようだなんても思わない。けれど、私たちはこうしているんだ、ということを伝えて、もしそれが誰かに影響を与えられていたら嬉しいな、というだけですね。
10年間、ダブルダッチを「続ける理由」
10年という月日の長さと重み。なぜそれだけの期間、ダブルダッチを、そして“ミセス”を続けてこられたのか。その理由を訊くと、MISAが口にしたのはメンバーへの想いだった。
MISA
ミセスを10年もやるだなんて思っていなかったですよね。こんなに続くなんてと思ったし、しかもその10年後に、私たちが家族以上の仲になっているなんて(笑)。
──でも、女性は特にライフステージの変化によって環境の変化は受けやすいと思いますし、プロの世界でもそういうのって与える影響は小さくないと思うのですが… 10年間続けることの重みって、計り知れないと思うのですが。
MISA
まあ平坦な道ではなかったですね。おっしゃる通り、ライフステージの変化による影響は大きい。
特に結婚・妊娠・出産・育児を経ると、人生の中でフォーカスしたいポイントも変わってくる。そして年齢を重ねて動けなくなってしまったり、その中でお仕事もあったり、体力面も人によるし。
そもそも、ダブルダッチを絶対にしなきゃ生きていけないというわけではないですしね。
──そうですよね。逆に今思ったのですが、MISAさんやミセスの皆さんが「続ける理由」ってなんなんでしょうか? 続けたい気持ちよりも手放す方が楽だという気持ちは自然なことですし、激動の日々の中で、辞める理由なんていくつでも見つけられてしまうと思うんです。
MISA
確かに…。うーん、でもやっぱり「ミセスに会いたい」とか「メンバーが好き」とか、「このメンツでなんかしたい」という気持ちじゃないかな。あと、本番に向かっていくみんながアツすぎて、その時間も好きなんですよね。
ダブルダッチって、私たちにとっての共通言語なんです。ただ飲み会を開いて年一集まりましょう、ということもできるし、「なんかやりたいよね〜」って言いながら、やらない10年を過ごすことも可能だと思うんです。
でも、私は何かをやりたい(笑)。例えば「大会に出たい」と言うだけにせず、それを行動に移したくなっちゃう。

──その原動力はどういったところから?
MISA
まあさっき言った「メンバーが好き」というところに行き着くんですが、全然シンプルな話で、策略なんてものはない。ステージに立っているあの子がもう一度見たいからやろうよ、とか、あの子もまだ輝けるし、私たちもまだいける気がするから、もっかいいこう、みたいな(笑)。
──先ほどもMISAさんが言っていたと思うんですが、良い意味でミセスってフィメールシーンを背負いすぎていない感じがするんですよね。その緩急が良いなというか。
MISA
いや、それでいうと「女の子たちに影響を与えられていたら嬉しいな」とか、それできたらハッピーじゃん!っていう気持ちはありますよ。ウチらが何かに出て、その姿が誰かの勇気になっていたら最高だねって思ってます。
でもそうやって思うけど、それをいちいち背負っていたら多分続かない。
でも、それは自分に優しくできない人は他人にも優しく出来ないよね、という感覚。みんなへの感謝や恩返しの気持ちはあるけど、それはまず一番に自分たちが幸せを感じられていないと成り立たないから。
──以前別のインタビューで、FLY DIGGERZのKENGOさんも同様のことをお話されていたのをよく覚えていていて、確かにな…と思わされた記憶があります。
MISA
目で見て、音を聞いて、体感やオーラで感じて楽しんでもらうものをやっているんだから、それを発する側の人たちが満たされていないと、何も伝えられないかなと思っている。
ただ少し話を戻しますが、当然そのように活動するためには会社や家族、友人をはじめとして、周りの支えも必要で。「まだやってるんの」とか「そろそろもういいんじゃない」とか、「うまくいかないなら辞めればいいじゃん」とか、全然そう言われてしまうことってあるんですよ。きっと現役生でもあるんじゃないかな。
でも、周りの人たちに支えてもらうためには、こちらも“本気”を見せないといけない。本気で向き合った結果、ミセスのショーを見た周りの人が喜んでくれたり、何か影響や刺激を与えられたら最高だなって思うんです。そういうことも含め、本気でやっていたら周りも応援してくれる。だからミセスってめちゃくちゃ練習します(笑)。
でも、決してそれは誰かに無理をさせるということでもなくて、お互いのパートナーや家族のこと、体調やライフステージのこととか、すごく大事にはしていた。
逆に色々あっても、私たちが集まったらお互い元気になれるよね、という存在であることをキープし続けていたいなと思っていました。
MISAのリーダー像
そんなMISAは、どのような“スタイル”でミセスを牽引し続けてきたのか。彼女のリーダー像にせまった。
MISA
たぶん私は、世間が思うリーダー的な感じではないかな(笑)。姉御肌的なリーダーではないと思っているんです。
そして、自分の頭の中のイメージを言語化するのは得意じゃないけど、モノを作ることで表現するのは得意。だから例えば「衣装ってこんなんがいいんじゃない」をみんなが話し合って、それをカタチにして作って見せたり、絵を描いたりしている。
──テキパキ指示をして分担して動いて、というより、MISAさんがガッと進めていくイメージ。
MISA
物事の最初はそうかもしれないですね。だから1人で勝手に忙しい時期とか全然ある(笑)。
でも、決してそれは私のワンマンというわけではなくて、アイデアもイメージも、誰かが最初に積み上げていかないと膨らんでいかないと思うからそうしているだけです。いろんなパターンの意見出してもハマらない時もある。
いいモノができるなら遠回りも大事かなと思うし、逆にみんなで出し合うから、“誰かが引っ張っている作品”という見え方もしない。
──MISAさんも動きつつ、みんなでイメージを膨らませていくという感じなんですね。そのような進め方は結成当初からそうだったんですか?
MISA
いや、そうではなかったです。ミセスとして最初に出たDOUBLE DUTCH CONTEST JAPANがあって、私たちはノーミスのショーで予選落ちしてしまったことがあって。その当時は結成当初だったから何もかもが手探りで、仲間の引っ張り方も分からなかったから、曲や衣装、構成まで1から全部私が作ったんです。
で、結果が出ず、「みんなの大事な1回を自分が潰したかも…」って思ったことがあって。私やっちゃった、ごめん、みたいな。

MISA
で、次のDOUBLE DUTCH DELIGHTの一般部門に出るとき、同じようなやり方で進めていたら、後輩から「結局ワンマンチームじゃん」って突っ込まれてしまって、「あ、やっちゃってるな」って。
私はそうしたかったわけではないし、自分が輝くためにみんなを使っているつもりなんてなかったけど、自分だけで進めていたら、そうなりかねないんだと思ったんです。
いろんな意見を大切にしていったら、最終それが成果になって現れた。
私だけじゃダメだ、と思ったことが1つのキッカケです。
でも、だからといって自分を殺しすぎるのも良くないから、それをトライアンドエラーで繰り返して今に至っている、という感じです。

メンバーを愛し、周りへの感謝を噛み締めながら駆け抜けてきたMISA。
明るさを絶やさず進み続ける彼女たちだったが、しかしそこには挫折もあって…。
そのとき、「わたしごと」を「みんなごと」にするリーダー・MISAは、その壁をどのように乗り越えてきたのか。そしてこれからのミセスにのぞむ未来の景色とは。
後編の公開をお楽しみに。
なお、後編の公開は11月7日(金)を予定しております。
