2025年11月2日(日)、福島県飯舘村を舞台に新たなイベントがスタート。その名も「Hamadori DD FRONT」。
発起人であり主宰を務めるのは、D-act出身で、現在は大学院1年生である伊藤まどかさん。ダブルダッチと“地方”という2つのテーマが重なるこの企画を、まどかさんはどのような思いで立ち上げたのでしょうか。
「HDDF」とは?
ダブルダッチイベントにその土地の文脈を反映させ、都会と田舎のカルチャーミックスによって、”遊び”の選択肢を広げることを目的とする企画。
アーバンストリートスポーツならぬ”カントリーストリートスポーツ”を実践し、文化の壁、社会の壁、環境の壁を溶かしていくことを目指す。
第1部はダブルダッチや地域の音楽・ダンスグループによるパフォーマンスに加え、台湾発の飯舘村を拠点とするアイドルグループ「福島もも娘。」が登場。
第2部には“自然体の飯舘村”を体感できるワークショップ企画を用意。
飯館の星空の下でのバーベキューやフリーロープ、さらには飯舘の施設への宿泊も可能という。
※いずれも人数制限あり。
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3つの“FRONT”
では、どのような思いでHDDFを立ち上げたのか。高校時代に“地方”や、そういった地域が抱える社会問題について学習したとき、自身の“世界”の狭さを感じたといいます。
まどか
「東京生まれ東京育ちで、外のことを何も知らないことを恥ずかしいなと思ったんです」
自分の見識を広げたいという好奇心が働き、そういった分野を学ぶために東京大学を志望。2021年に晴れて入学し、D-actでは『ゲンダイ』というチームで活動する傍らで、これまでに10を超える地域に足を運び、現地の人と触れ合ったりもしていたそうです。

そんなルーツを持つまどかさん。イベント名にある“FRONT”に込めた意味から、この企画についての思いを説明してくれました。
①地域に「向き合う」
まどかさんは、いわゆる「地方創生」の文脈を持つ企画が、外部から持ち込まれるだけで終わってしまっている実情があると言います。確かに土地柄も抱える課題も、地域によってまちまちではあるはず。
地域と向き合いたいという強い思いが込められています。
まどか
「その土地ならではの良さを見つけたい。そのために、その土地にいない人が足を運ぶことが必要で、それによって更なる魅力が引き出されることに期待しています。
ワークショップも実施するのですが、そこに飯舘村の歴史や文化の要素を加えて、外と中が融合できるような機会を作りたいと思っています。単に旅行するのだと、その経験も表面的になってしまうと思うんですよね。
イベント開催前に運営メンバーで飯館を訪れ、現地の人と交流するなど、本当に『地域と向き合う』ということを考えて企画しています」

②アーバンスポーツに「対峙する」
そして2つ目に挙げたのは、“アーバンスポーツ = ダブルダッチ”という固定観念と向き合う、という意味。
D-actでダブルダッチに熱中するなかで、 まどかさんが感じたダブルダッチの良さの1つに「場所を選ばないこと」があったそうです。
まどか
「小学校で講習会に行ったり、あるいはプロチームが世界を横断したり。自分も旅先でちょっとダブルダッチを披露してみたりすることもあったんですが、場所を選ばないことがダブルダッチの自由さであり、めっちゃ良いところだと思ったんです。
と同時に、“アーバン”(都市)にこだわる必要ってないなとも感じたんです」

「場所を選ばないものだから、別にホールやクラブっぽいところでイベントをやる必要が絶対にあるわけではないと思うんです。もちろんそういったイベントを否定しているわけではありません。
でも、想像の範囲内の環境のもとでやっても、ワクワクや楽しいも想像の範囲内になってしまうなとも思って。まずは環境からワクワクできることがしたいと思いました」
場所を選ばず、どこでも楽しめるダブルダッチ。その可能性に触れたとき、その要素と向き合い更に深めていきたいという思いがあるのだと語ってくれました。
③みんなで開拓する遊びの「最前線」
3つ目には、front=最前線、という意味が。
そしてこれが、このHDDFにおける最重要の要素だと語ります。
まどか
「都市側から地方側へ何かを持っていったりする“だけ”になってしまう、ということはお話ししました。反対に、例えば旅行や観光で地方を訪れたとき、おもてなしをしてもらう”だけ”になってしまうことがあると思います。でもそのおもてなしも、受ける側のバックグラウンドは考慮されないため画一的になることも多い。
このHDDFが目指すところは、そうした一方通行になりがちな双方の「融合」です。相互的に混ざり合って、お互い知らないもの同士をみんなで手作りしていく非日常体験であり、“究極の遊び”を追求したい」

何事も、入口は「楽しい」から
さまざまな娯楽に溢れる今。受動的な楽しさを享受するだけでも、それなりに充実した生活を送れるなか、まどかさんの能動的な行動力の源は?
まどか
「いろいろありますが、行く先々の地域で出会う人たちにすごく刺激を受けたことが大きいと思います。便利な都市で働き続けるという選択肢もあるなかで、地方に可能性を見出して職を作り、住み着いたりしていて。
そういう人たちがみんな能動的に楽しく過ごしていて、しかもそれが地域の力になっている。失敗を恐れずに自分で世界を切り拓いている人たちの姿に、感銘を受け、憧れたんです」
「色々とお話ししましたが、HDDFを堅苦しく捉えてもらいたいというわけでは決してありません(笑)。
最初から大層なことに向き合ってもらいたいとは思っていないし、『私の思いや背景を全部理解して、自分もそれを背負わなきゃいけない』なんてことはない。でも、これをキッカケに地方や抱える課題に関心が徐々に生まれることもあり得る。」

「好奇心が世界を少しずつ広げていくと思っていて、そして何事もその入口は『楽しい』から始まると思っています。やってみて(今回ならHDDFに来てみて)面白くなかったら、それはただ縁がなかったというだけ。私も全てを楽しめるわけではなく、そう思うことだってありますしね。でも経験はしてみたい、新しいことに取り組んだ先の景色を見てみたいからやってみよう、ということです。
なのでまずは単純に、この機会を利用して皆さんに楽しんでもらえたら十分嬉しいです」

